【小説】星の数ほどの明日を.9
pixivにて投稿しております文を一部公開します。
ピピッピピッ…
「うぅっ…。」
頭の中に直接響いてくるような電子音に思わず顔をしかめる。私は何度か瞬きを繰り返してからゆっくりと目を開いた。
「うる…さい…!」
目の前に開いていたウインドウをポチッと押すと音は鳴り止んだ。もう一度眠りにつきたいという誘惑に寸前のところで打ち勝ち上体
を起こすと、いつもは結わえているセミロングの黒髪がパサリ、と肩にかかる。
(昨日は、確か…)
まだはっきりとしていない思考の中、記憶を辿る。
(えーっと…タクトと夕飯を食べた後部屋に帰ってそのまま…)
そこまで思い出した私は、はっと右を向く。そこには、私が今座っているのと同じ形をしたベッドの上で、未だ夢の中のタクトの姿があった。
やれやれと思いつつ、ちらりと時刻を確認する。
(8時か…)
昨夜は結局眠りについたのが9時くらいだったので、実に11時間も寝ていたことになる。現実世界の私は、毎日長くても6時間睡眠
だったので、約2倍も寝てしまった。
(゙現実世界゙か…)
ふと頭の中で生まれてきたワードに、タクトの言葉が蘇る。
『あの世界に…僕の居場所はないから…。』
「っ…!」
同時にその時の彼の痛々しい表情まで思い出されてきて、私は首をブンブンと横に振る。
(大丈夫。あの後タクトは『死なない』って約束してくれた…。)
興味を持ってくださった方は是非読んで見てください!
【星の数ほどの明日を.9】
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