【小説】星の数ほどの明日を.8
pixivにて投稿しております文を一部公開します。
また、間違えた。
どうしていつもこうなのだろう。
僕は人間関係においてどこか不器用で、いつも間違いを犯す。優柔不断な上に、迷った挙げ句選ぶ方は大抵間違っている。
やるべきことはできないのに、やらなくてもいいことをやってしまう。言いたいことは言えないのに、言ってはいけないことを言ってしまう。
昔からそうだった。だから、この世界では自分が思ったように行動しようと決めた。それで失敗しても後悔しない、と。
(なのに…)
それなのに僕はまた、゙間違えだと思った。もう、脳がそうとしか判断できなくなってしまったのかもしれない。僕が選んだ道に正解なんてないと、僕自身が思い込んでいるだけかもしれない。
だけど、確かに僕は今、後悔していた。そんな顔をさせたかったんじゃない。ただ、僕の声を、心を聞いてほしかった。それに…
(…゙クロエ゙なら、ちゃんと聞いてくれる…。)
そんな安心感を持っているのもまた、事実だった。
「それって…どういうこと…?」
かろうじて私が発したのは、そんな言葉だった。うまく頭が回っていない。
数日前の私なら、これほど衝撃を受けることはなかっただろう。なぜなら、私も同じ気持ちだったのだから。
(でも、今は違う…。)
タクトと出会って、それから少しずつ私の気持ちは変わっていった。やっと、この世界で生きていくことに希望を持てた。『明日』が楽しみになった。だからこそ、私をそうさせてくれたタクトが『死んでもいい』だなんて口にするとは、微塵も思っていなかった。
目の前に立っているタクトの瞳からは、何かを決意したような、強い意志が感じられた。
「…僕の話…聞いてくれる?」
「…うん。」
私はコクリと、しっかり頷いた。
興味を持ってくださった方は是非読んで見てください!
星の数ほどの明日を.8