【小説】星の数ほどの明日を.4
pixivにて投稿しております文を一部公開します。
VS大鹿
「ええっと…弱点はさっきと一緒。突進は速いけど、できるだけかわして!あと…前足を大きく上げたら地面につくときにジャンプ!!」
「了解!!」
慌てて、まくし立てた早口のセリフにタクトが短く返事をして剣を抜く。
ちらりと彼を見ると、楽しそうに瞳を輝かせていた。やれやれ、と呆れつつ、鹿に向き直る。
すると早速、敵が攻撃を仕掛けてきた。前足を高々とあげ勢いよく地面に下ろす。その瞬間、私とタクトが同時にジャンプする。さっきまで立っていたところを振動エフェクトが通り過ぎていった。アレをまともにくらえとかなりヤバイ。HPがイエローのちょっと前まで減るし、受けた直後は数秒動けなくなる。
最初の攻撃が決まらなかったことに苛立ちを覚えたのか、今度は私に向かって突進してきた。速さは、さっきまでの小鹿とは比べものにならない。
私はタイミングをみて真上に跳んだ。そのまま、敵の真上から無防備な背中へと突き技を放つ。
早技を完璧に決められたことに対してガッツポーズの一つもしたいところだが、うかうかと喜んではいられない。
鹿がドスゥン!!と気にぶつかったところで、タクトがダッシュした。彼の剣を明るいライトエフェクトが包み込む。狙うのは後ろ左脚。そこまで考えてから私ははっとした。
(いけないっ…!)
声を掛けようとしたが、もう間に合わない。
タクトの剣が届く前に、敵の左脚が動き、ドスッという鈍い音とともにくいこんだ。
「うおぁっ!」
「タクト!!」
当然ソードスキルは中断され、タクトは高くはねとばされた。
なんとか大勢を立て直したものの、数メートル近くズサァァーと後退する。
「くっそぉ…」
「ごめん!言い忘れてたけど、もう右脚しか狙っちゃダメだよ?左脚だと今みたいにとばされちゃうの」
「…わかった」落ち着いた様子でタクトが頷いたのを合図に、私はキッと敵をにらみ睨みつけた。
興味を持ってくださった方は是非読んで見てください!
星の数ほどの明日を.4